大船渡市、釜石市、住田町の2市1町にまたがる、三陸沿岸最高峰の五葉山。花の百名山や日本三百名山として知られ、行楽シーズンはもちろん冬季にも登山客が絶えない人気の山です。このところ登山の人気が高まっていることもあり、登ってみたいと思っている方も多いと思います。ここでは、初めての方向けに五葉山登山についてお教えします。
目次
登山ルート
五葉山の登山ルートはいくつかあります。
赤坂コース
大船渡市と釜石市境にある赤坂峠登山口が起点。山頂までの所要時間が一番短く、最も人気のあるコースです。駐車スペースも十分あります。
桧山コース
住田町の桧山登山口からのルート。未舗装の林道に大きな凸凹も多く、登山口の1kmほど手前で車両は通行止。傾斜を一気に登った後はなだらかな稜線を行く、なかなかタフなルートです。
黒岩コース
住田町の黒岩登山口からのルート。刈り払いも十分ではなく、藪漕ぎ必至なのでおすすめできません。桧山コースを絡めて周回する方が多いようです。
楢ノ木平コース
釜石の楢ノ木平口から登るルート。登山口までの未舗装区間が長いため、雨などで路面が荒れやすく、駐車スペースもわずか。ルート自体は勾配もゆるめで歩きやすいようです。
おすすめは何といっても赤坂コースです。登山道もしっかりしているので、知らぬ間に道を外れるという事もまずありません。ここでは、赤坂コースを前提に説明します。
アクセス
赤坂峠までのアクセスですが、大船渡側と釜石側からのルートがあり、どちらも登山口まで舗装されています。前後の予定や出発地から近い方を勘案することになりますが、どちらでも変わりないのであれば釜石側からの方が走りやすいでしょう。
大船渡側からでも普通車で問題なく走れますが、五葉温泉を過ぎてから登山口までの5kmほどが狭隘区間なので、すれ違いを嫌うのであれば朝のうちに登山口まで上り、帰りは午後にするとよいでしょう。
公共交通機関は通っていませんが、中にはタクシーで登山口まで来るツワモノもいるようで、山小屋から電話して「今から下りるんで」とタクシーを呼んでいる人を見たことがあります(笑)。携帯電話がつながることも驚きでした。
難易度
五葉山の標高が1,351mで、赤坂峠登山口が712mなので、標高差は639mあります。ちなみに山頂の日の出岩までの距離は約5km。畳石のある4合目まではハイキング感覚で登れます。地元では小学生でも登っていますので、初めての方でも気負わずにチャレンジできます。ただし、運動不足どころか今まで運動したこともないような人が途中下山したケースもあったので、「誰でも間違いなく登れる」という保証はありません、念のため。
装備
これがなければ、というような特別な装備は不要です。雨が降っていればレインウェア、そして飲み物もあれば良いですが、なくても4合目の畳石と9合目にある山小屋「石楠花荘」そばに水場があります。山頂は風が強いので、夏場でもウィンドブレーカーぐらいは欲しいところ。靴は天候が悪くなければスニーカーでも全く構いませんが、足が濡れるのを嫌ってゴム長靴で登った時はさすがに足が痛くなりました。ジョギング姿で登ったこともありますが、タオルだけは必需品です。あとは熊鈴も。
時期
登山道までのアクセスは車ということになりますが、赤坂峠に通じる県道は、正月明けから4月上旬まで通行止めになるので、初めての方はそれ以外の時期が良いでしょう。
また、4月29日の山開きのタイミングだと残雪があるため、ツツジやシャクナゲが見頃を迎える6月から7月、そして紅葉が見られる10月末ぐらいまでがおすすめです。
トイレ
赤坂峠登山口と、山小屋わきにトイレがあります。ちなみに山頂トイレの方は冬期閉鎖があるため、冬場は携帯トイレ必須です。
水場
4合目にある休憩場所「畳石」からわき道を入った場所と、9合目の山小屋「石楠花荘」わきに水場があります。
ルート案内
1合ごとに案内板があるので励みにしましょう。
1~2合目
ツツジの時期であれば、眺めながら登ることができます。
3合目
石積みの広場「賽の河原」があります。ここで早くも休憩に入る人もいますが、4合目まで辛抱しましょう。
4合目
天狗の敷物とも言われる「畳石」ある広場で、休憩所になっています。ここから斜度もきつくなってくるので、体勢を整えましょう。
4~8合目
畳石から鳥居をくぐると、今までと少々様子が変わり、やや急勾配になっていきます。岩場では手をついて登る場面も出てきます。7合目にちょっとした広場があるので、ここで一息つくのも良いでしょう。
8合目
勾配のある4~8合目を過ぎると、シャクナゲが出迎えてくれます。ここまで来れば、あとは難なく登って行けます。
9合目
平成30年に建て替えられた山小屋「石楠花荘」があります。そのそばには水場・トイレ・ベンチやテーブルがあるので、ここで休憩するもよし、一気に山頂を目指すもよしです。
山頂
「標高1,341.3m」と表示された看板が立つのは、三角点です。1,351mの山頂は、その奥の原生林にある「日の出岩」ですのでお間違いなく。
所要時間
休憩を除けば登山口から山頂まで、上りであれば2時間程度、下りは1時間半~2時間程度で行き来できます。
宿泊
赤坂口にはトイレもあり、夜のうちに移動して車中泊する方もいるようです。また、山小屋は寝袋などあれば宿泊できますが、コロナ禍が収まるまでは自粛した方がよいでしょう。
アフター
大船渡方面を下ったところに日帰り温泉施設「しゃくなげの湯っこ・五葉温泉」があり、入浴・休憩・食事ができます。
まとめ
初めての方向けの五葉山登山についてのまとめです。
・赤坂峠登山口からの赤坂コースがおすすめ
・景色が楽しめる6~10月がおすすめ
・4~8合目は比較的急傾斜なので用心を
・山頂は巨岩の集まった「日の出岩」ですよ