コロナ禍でなかなか飲み会など開ける状況ではありませんでしたが、このところの岩手県内の感染者数減少もあって、久方ぶりに出かけてみたのが「三陸の味 高帆」。素晴らしい料理の数々をレポートします。
こんなところ
住所で「中道下」と聞いてもピンと来ない人も多いかと思いますが、盛町の商工会議所隣にあるお店です。看板も見当たらないので、初めての人は素通りしてしまうかも。
外観は黒が基調の上に通りから奥まった位置にあり、店内を窺い見ることもできないので、一見飲食店とは思えないほどです。仏具店が隣接しているため、知らない人は関連のスペースか何かかと思うかもしれません。舗装の駐車場は区画されており、15台ほどが停められます。
店内は大人数用のテーブル席が1部屋と、少人数用の小上り席が1部屋のみ。落ち着いた雰囲気があり、美味しいものを食べて親しい人とゆったりと時間を過ごせるムードを醸し出しています。
予約制のシステムなので、電話等であらかじめ来店日時を決めておかねばならず、思いつきで行けないのは少々残念なところ。大事なお客さんが来る日にもてなしたい時や、記念日などには良いと思います。
おまかせのコースメニュー
年末のある日
魚がメインのコース料理は何を食べても美味。それもそのはずで、震災前に大船渡駅前にあった人気店の割烹「若大将」の板さんだった店主が腕をふるっているのです。
この日のメニューは、正月が近いためか先付けに昆布締め・いわしの田作り・切干大根。あまり食べることがなくなった分、新鮮に感じます。
レタスとトマトのフレンチサラダには、ボイルしたイカがこれでもかというほど載っており、前菜というよりシバデで、お酒が進みます。
本わさびが添えられた刺身の盛り合わせは鮪・ブリ・イカ・蛸の4種で、いずれも新鮮そのもの、歯ごたえも楽しめます。
続いて出てきたのは焼き物盛り合わせで、味噌が塩梅よく染みた鮭の西京焼き、醤油だれがよく合う鳥つくね、スパイシーな味付けが食欲を加速させる鳥の手羽先の3種。いずれも唸るばかりの仕事ぶりです。
お次はこの時期ならではの、タラの白子の天ぷら。トロリとした食感が楽しめる旬の白子を、アツアツのうちにいただきます。
さらに出てきたのは、鰤カマの煮つけ。コクを感じさせる甘じょっぱい味付けが、身に染み込んでウマウマ。お酒かご飯必須のおいしさです。
とどめに登場したのは、板さんの腕の真骨頂とも言える握り寿司7貫の盛り合わせ。ネタがシャリを包み込むほどの贅沢な握りの中で、特に目立つのは中トロ。とろけるような味わいの中トロが舌の上でほどけたシャリと混ざり合って、幸福感はマックスです。
すっかり満腹になった後で、デザートにプチサイズのティラミスが。お腹が苦しいと思いながらも、やはり別腹。一口で食べるのはもったいない濃厚さで、最後の最後まで料理を楽しませてくれます。
5月のある日
料理は時期によって替わりますが、この日は突き出しに切り干し大根、おくらのごま和え、おからと春菊の和え物がセットで出てきました。
そしてサラダには薄切りの豚しゃぶがのって胡麻風味。
刺身は、マグロ、ブリ、タコ、ツブ貝が上品に盛り付けられています。鮮度はもちろん言うことなし!
この日の焼き物は、ホッケとつくね串。もちろんアツアツで提供されます。
大船渡ではおなじみ食材のマンボウ。これまたおなじみの酢味噌でいただきますが、モノが良いのか処理の違いか、他にないほどのすごいシャキシャキ感。これがプロの技ということでしょうか。
揚げ物は、タラの唐揚げとレンコンのはさみ揚げ。タラの唐揚げは衣サクサク、タラの身がふんわりで、思わず酒がすすみます。
マグロのカブト煮。驚くほど柔らかく煮込まれており、頭を丸ごと出されるとグロかったりするものですが、こうして小分けにされると上品さがグッとアップします。
寿司も絶品。ネタはマグロ、イカ、タイ、蒸しエビ、ホタテ、厚焼き玉子というラインナップ。
お吸い物にはタイが入って、大根とネギが良く合います。
とどめのデザートは、一口サイズのチーズケーキ。もっと食べたいと思わせるところがにくいです。
また別の日には、グラニュー糖のかかったイチゴということも。料理の引き出しは豊富です。
料理は基本的におまかせのコース料理なのですが、旬の地物を職人の技で仕上げてもらえるので、任せて安心、今度は何が出てくるかと非常にワクワク感があります。
まとめ
・大船渡の旬のおいしい魚介をよりおいしく食べたいならここ!
・居酒屋+αの価格ですが、クオリティを考えればむしろリーズナブルなお店です。
・完全予約制なので、まずは日程の確認と調整を。
基本情報
住所:盛町字中道下2-24
電話番号:0192-22-7532
営業時間:17:00~
駐車場:あり