関谷洞窟は大船渡にある霊界の入口!?赤だくれ犬の言い伝えも紹介

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関谷洞窟は大船渡にある霊界の入口!?赤だくれ犬の言い伝えも紹介

 気仙管内で有名な洞窟は、何といっても日本一落差のある洞内滝を有する住田町の滝観洞が有名ですが、ここ大船渡で洞窟といえば関谷洞窟。

 ここでは、三陸ジオパークのジオサイトに登録され、霊界の入口とテレビで紹介されたこともある関谷洞窟についてご紹介します。

関谷洞窟とは

 大船渡市日頃市町は、古い地層があることで全国的に知られており、古生代のシルル紀(約4億4370万年から約4億1600万年前)から石炭紀(3億5920万年から2億9900万年前)の地層が分布しています。

 川内地区の樋口沢や坂本沢地区の鬼丸などでは、四斜サンゴ、腕足動物、二枚貝類、三葉虫などの化石が数多く産出され、さしずめ化石のデパートといった様相を呈しています。

 そんな古い地層の一つである川内層に形成された石灰岩が、雨水の浸食を受けてできた鍾乳洞、それが日頃市町関谷地区にある、その名も「関谷洞窟」なのです。

 昭和36年に行われた調査では93mの地点まで測量されており(現在は南北に106m、最大幅58mとされています)、中には地底湖が広がるほか、地下水脈もあります。

入口近辺

 関谷洞窟にまつわる言い伝えに、こんなものがあります。

関谷洞窟の赤だくれ犬

 昔、洞窟の奥には水を湛えた湖がありましたが、その水というのが塩辛くて、まるで海水のようでした。その証拠に湖からは、昆布やワカメなどが採れたのだそうです。

 村の者たちは不思議に思い、この洞窟が一体どこまで続いているのか探るため、洞窟の奥に犬を放ったところ、犬はそのままどこまでも奥に進んでいって戻って来ませんでした。

 しばらく経ってから、遠く三陸町は綾里地区の浜辺で、全身すり切れた姿で歩く犬が村人に発見されたのだとか。

・・すごい話です。日頃市から綾里までは直線距離で15kmもありますから。

 しかしながらこの話、全て口伝えの民話というわけでもなく、気仙郡日頃市村五葉山神社(行蔵院)の書物によると、往古に洞窟の中の水は塩辛くコンブが採れたこと、洞窟は綾里村まで通ずることが書き記され、さらには「古寺(昆布山・東海寺)跡の西北の間の20間ばかり下がった所に大岩(洞窟)あり」と、海に関係していると思われる記録が残っているそうです。

縄文時代の住居

 また、関谷洞窟は単なる洞窟というだけでなく、古代人の住居として使われていた側面があり、昭和32年には縄文早期から古代にかけての複合遺跡「関谷洞窟住居跡」として、岩手県指定文化財に登録されました。

 縄文早期から弥生時代までの土器のほか、土師器、ハマグリ、アサリ、マガキなどの貝類、シカ、イノシシなどのほ乳類の骨が見つかり、古くから人類が洞窟を利用していたことを示す貴重な遺跡となっています。

 石灰岩の地層があることや、貝殻が見つかったことが意味するものは、五葉山麓の日頃市町が、太古の昔には海にあったという事実。山深い現在の周辺の景観からは、とても考えられません。

 ちなみに、縄文や弥生と言わず、昭和に入っても時折住みつく人があったそうです。夜露をしのぐにはいいのかもしれませんが、湿度が高くてコウモリもたくさんいることを考えると、ちょっと寝られる気がしません。

霊界の入口!?

 そしてこの関谷洞窟。筆者が高校生の頃、たしかTBSだったと思いますが、霊界の入口・関谷洞窟を探訪する企画が特番に使われるとのことで、俳優の竹中直人さんがロケに来たのでした。心霊スポット的な話はそれまで聞いたこともなかったので、驚きでした。

おわりに

 東日本大震災以降、危険があるという判断でしばらく入洞は禁止されていましたが、現在では見学可能になりました。どんなに暑い夏の日でも、洞窟内は非常に涼しくて気持ち良いです。ヘルメットと長靴を装着し、照明持参の上、興味のある方は洞窟アドベンチャーに是非どうぞ。

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