岩手県沿岸最高峰・五葉山の標高は1,341m、と間違える登山客がいるそうなのですが、その理由と1,351m地点にある本当の山頂についてお伝えします。
五葉山とは
わが大船渡が誇る霊峰・五葉山(ごようざん)。日本三百名山や花の百名山にも選ばれ、市民歌はもちろん、多くの市内小・中・高校の校歌の歌詞として引っ張りだこ。古くから多くの修行者が籠っており、蘭学者の高野長英がひと頃身を隠していたことがあるほか、某Ω教団が施設を作ろうと視察に来ていたという話まであります。
花の百名山にふさわしく、6月頃には赤坂登山口から中腹にかけてツツジが登山道沿いに、7月にはハクサンシャクナゲが山頂付近に咲き、目を楽しませてくれます。また、運が良ければゴヨウザンヨウラクという、五葉山にしか分布しないツツジ科の固有種に出会えます。
山頂を間違う理由とは
そんなわけで登山客も多い五葉山なのですが、目的は山頂を目指すべきところ、残念なことにある理由から、頂上までたどり着いていない方がいるというのです。
というのも、見晴らしの良い場所に「標高1,341m」と表示された標柱なんかがあって一見山頂に見えてしまうため、何も知らなければここで満足して帰ってしまうらしいのです。
周辺がひらけているため、あたりで一番高い場所のように思えるのですが、本当に一番高い場所はそこからさらに10分近く歩いた、原生林の中にあります。
山頂は「日の出岩」1,351m
原生林を進んだ一角に、巨大な岩が身を寄せ合うように重なった場所「日の出岩」があり、この巨岩群の突端が五葉山の山頂、1,351mというわけなのです。
「仁和寺にある法師」ではないですが、知っているのと知らないのとでは大違いなので、初めて登る方は後で悔やむことのないよう、覚えておきましょう。
それにしても、山肌が削れて岩が出てきたというような場所ではなく、周りは木々がうっそうと生い茂る原生林。
そんな中のごく一か所だけに巨岩が集まり、しかもそこが一番高いというのは本当にミステリアスです。
例えていうなら、山盛りアイスの上に木の実がちょこんとトッピングしてあるようなイメージなのですが、人知の及ばぬ力が働いていると思わせるに十分な場所です。
五葉山は三陸沿岸の最高峰で、条件が良ければ山頂から早池峰山や須川岳(栗駒山)、室根山、焼石岳、岩手山などが望めます。
しかも、北上山系では最も海に近いおかげで、太平洋を眼下に見渡すことも。こんな眺望はなかなかないのではないでしょうか。
おわりに
五葉山の山頂についてお伝えしました。
季節によって様々な表情を見せる名峰・五葉山は登山初心者でも挑戦でき、9合目には山小屋もあって宿泊もできますので、機会があれば登山に是非どうぞ。
そして帰りはもちろん地元・五葉温泉にゆっくり浸かって、疲れを癒してください。