五葉山山頂はダミー!?麓からの間違えやすい方向と見え方を検証します

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五葉山山頂はダミー!?麓からの間違えやすい方向と見え方を検証します

わが母校・大船渡高校の校歌でも、出だしに「霊気漲る五葉山」とうたわれる霊峰・五葉山(標高1,351m)。三陸沿岸の最高峰であり、日本三百名山や花の百名山にも選ばれた名峰で、頂上付近はなだらかな高原状になっています。漁師が沖に出るときにも五葉山の山頂が見えることが一定の目安とされていて、遠方で山頂が見えなくなるほど沖の海域を「五葉つぶし」と呼んでいたそうです。

そんな五葉山の麓の町で育ってきた私ですが、小学生の頃に友達からある話を聞かされていました。それは、「学校から見えているのは五葉山の山頂じゃない」というもの。小学校の校庭から見える五葉山らしき山は、2つの山頂が前後に重なったコブのように見えるのですが、どう見ても後側のコブが一番高く、それが山頂だとばかり思っていたもので、本当の話なのかとずっと疑問に思っていました。

小学校からは、中央付近が山頂に見えますが・・

山頂の日の出岩から、のろしを上げてみるとか夜間にライトを点けてみるとか、山頂と麓とで連絡を取り合う手段もない時代から、「どうやって山頂の位置を山麓から確認できるか」について考えていました。

時折思い出しては答もいいアイデアも浮かばないうちに忘れてしまうことを何度も繰り返し、すっかりいい大人になってしまいました。しかし、そんなことをまるっきり忘れ去っているうちに、いつの間にか時代が解決してくれていました。ネット社会の恩恵で、すでに用意されていたその答は・・

Google Earth

そうです。距離計測で頂上にマーカーをつけて、それを山麓の任意の地点から見てみれば、実際に見たときにどこが頂上に当たるのか一目瞭然というわけです。

ということで、さっそく作業開始。

検索から五葉山の山頂部分を探し出し、「ラインやシェイプを描画」をクリック後、起点を設定。その状態で試しに五葉ダムあたりまで移動・拡大して、見上げてみると・・

線の向かう先が山頂
実際の画像。山頂は中央付近ということに。

え!?そっちなの!?と言いたくなるほど、山頂は思いもよらぬ場所にあります。確かになだらかな高原の一角が頂上ではありますが、それにしても・・。

次に、同様に小学校の位置まで移動して確認してみると・・

高く見える部分は山頂ではなかった!

やはり、友達の話は本当だった!

2つのコブの奥に低くてなだらかな山が広がっているのはもちろん知っていましたが、まさかそっちの方が山頂だったとは。見慣れた景色に潜む真実に、ショックを隠し切れない思いがします。いやホントに。

となると今度は、山頂だと思っていたものは一体何だったんだという疑問が湧いてきます。

そこで、2つのコブにマーカーを置き、「前コブ」「後コブ」と名前をつけて、今出山あたりから眺めてみると・・

左側が「前コブ」右側が「後コブ」
左側の青いマーカーが「前コブ」、その右側が「後コブ」

どうやら前コブ・後コブともに、高原状の五葉山の尾根の一角をなしているようで、どちらも山頂までつながっています。吉浜の元山あたりからだと、高さの違いがよりはっきりします。

右端のマーカーが一番高く見えます

青いマーカーが、左から前コブ・後コブ・山頂となります。
ちなみに市内各所から眺めると、山頂はこう見えるようです

市役所から。山頂は手前の山の陰に
県立病院から。スレスレで山頂が見えます

県立病院や市役所は高台にありますが、県立病院からは山頂がギリギリ見えるか見えないか、市役所からは他の山の陰に隠れて見えないことが判明しました。

さらに南下して碁石海岸から海に出れば、離れているだけに全体像が見やすくなり、裾野が広い高原を形成している様子が分かります。

高原状に見えます

わが町は五葉山麓の地域なのですが、いろいろ見ていくとコブは見えても山頂が見えない場所が多くあることがはっきり分かりました。まさに「灯台下暗し」という話で。
それにしても、こんな時代でもなければ何も知らないまま一生を終えたのではないかと思うと、文明のありがたさを感じてしまいます。

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