かつて大船渡で絶大に人気を誇った名店のパン屋の味を見事に復活させた朋友館について、おすすめなどをご紹介します。
こんなお店
震災前、大船渡町野々田地区に「柳屋」というパン屋がありました。市内に熱烈なファンが多く、時間を外せば売り切れ必至で、駐車場がなかったことから、お昼時間には店舗前の市道に縦列駐車する車の長い列ができるほどでした。
この名店の一番人気は、食パンの耳をあえてカットせずにピーナッツやいちごジャムなどを塗り込んだサンドイッチでした。その日焼き上げたパンはフワフワでそのまま食べてもおいしいのですが、特筆すべきは耳なのです。パン上面の耳はモッチモチの歯ごたえで、その弾力は他ではちょっと食べたことがないほどでした。下面の耳はふっくらしていて食べやすさがあり、横はさらに柔らかくて白い部分と遜色ないほど。耳まで三者三様に楽しめる食パンというのは、柳屋ならではでした。
また、柳屋は店舗に併設した工場で市内小中学校の給食用パンも手がけており、大船渡市民は柳屋のパンで育ってきたと言っても過言ではありません。盛岡で言えば毎日給食に福田パンが出るようなもので、今思えばかなり幸せな時代だったんだなーと思います。
しかしながら、柳屋は東日本大震災津波により店舗・工場の全てを流失しました。そして残念なことに、再建を断念したのです。もう少しだけ山側に立地していれば被災を免れたのかもしれませんが、今となっては詮無いことです。
ところが、捨てる神あれば拾う神ありと言うべきか、このままあの技が失われてしまうのはもったいないと思う多くの市民の願いが叶い、震災の翌年に、社会福祉法人 大洋会の運営する「朋友館」で、店主指導の元、パン製造の事業を立ち上げることになったのです。
朋友館は、立根町にある就労継続支援B型の事業所です。障害者など一般の雇用契約が難しい方を対象に、就労訓練を行う福祉サービスで、パンの製造のほかに、リネン関係のクリーニングやドン菓子製造などを行っています。
販売店舗は盛町のショッピングセンター・サンリアの並びにあります。通りに面しているので迷うことはありませんが、駐車場がないため、初めての方は注意が必要です。
なお、朋友館のパンは大船渡町野々田のマイヤ大船渡店でも購入できます。品数と数量が限られるため早目の購入が必要ですが、店舗は日中早い時間に閉まるので、店舗に買いに行けない場合でもこちらで運よく手に入ることがあります。
おすすめ商品
ピーナッツサンド
柳屋の一番人気だったサンドイッチの中でも特に人気が高かったのがこのピーナッツサンドです。パンのおいしさもさることながら、ホイップ系の特製ピーナッツクリームの甘さがベストマッチ。クリームはパンの隅まで丁寧にたっぷり塗り込んであり、耳つき食パン4枚を使ったサンドイッチながら、たちまち完食できます。
朋友館のサンドイッチは一番の主力商品で、柳屋の味を思い出させてくれます。サンドイッチの種類も豊富ですが、迷ったらまずはこちらを買えば良いでしょう。
メロンパン
かつて給食にも出され、揚げパンと人気を二分する存在だった柳屋のメロンパンですが、当時と変わらぬおいしさを味わえます。昭和感たっぷりのパッケージ袋も、昔から変わっていないと思われます。
皮はしっとりしていて、パンはふんわりしていながら弾力があって噛み応えを感じます。しっとり系のメロンパンが好きな方に、是非おすすめします。
また、メロンパンにはもう1種類あり、こちらはチョコクリームが入った変わり種です。ノーマルなメロンパンでは甘さがまだ足りない、という方はお試しを。
コーヒーブレッド
柳屋時代にはノーマークでしたが、今はイチオシの逸品。白石パンのフラワーパンのコーヒークリーム版といったところで、パンをちぎっては真ん中のクリームにつけながら食べ進みます。パンの弾力ある食感が病みつきになる上、底の方までたっぷり入ったコーヒークリームが秀逸で、甘さと控え目なほろ苦さがうまくバランスしています。
まとめ
・大船渡の超人気店だった柳屋のパンを復活させたのが朋友館です。
・パンは盛町の店舗のほか、マイヤ大船渡店でも買えますが、品切れにご注意を。
・初めての利用であれば、まずはピーナッツサンドをチョイスしましょう。
基本情報
住所:盛町字木町12-1
電話番号:0192-47-3689(店舗)
営業時間:火~金(祝祭日を除く)9:30~15:00
駐車場:なし