大船渡の朝市「市日」・盛木町市場とは

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大船渡の朝市「市日」・盛木町市場とは

 大船渡で朝市と言えば、盛町の木町(きまち)で開かれる、通称「市日(いちび)」です。市の立つ日は毎月0と5のつく日(5,10,15,20,25,30日)なので、これらの日のことを市日と言うべきですが、「ちょっと市日さ行ぐ」という言い方をしたりします。つまり「市日」とは、場所やイベントの名称というわけです。

 余談ですが、市のことを市日と呼んでいるのは、大船渡を含む北東北ぐらいではないかと思われますが、調査の余地がありそうです。

市日の歴史

 市日は明治10年代に相次いだ大火後、路上で作物などを物々交換したことが始まりとも言われていますが、はっきりした記録は残っていないようです。

 明治17年には盛に郡役所が設置され、現在の気仙2市1町に釜石の唐丹を加えた気仙郡の中心地に位置付けられました。

 明治22年には盛村から盛町となり、税務署、営林署、登記所、警察署等が次々と設置されたこともあって、大勢の人が集まる場所となっていったことも市日の発展に大いに影響を与えたと考えられます。

 また、市場は一時、天神山の参道となる神明通りに設置されたこともあったそうですが、長くは続かず、木町地内に集約されていったようです。

 明治中期になって、地元有志で市日を制度化しようという動きがあり、明治45年に市場組合が創設されました。この時の総会で、木町地内に市場を設けることや、名称を「盛魚市場組合」とすることが決められました。

 その後、大正元年11月5日に組合の認可を得て市場が開設されました。当初は10日ごとの開催だったようですが、後にいわゆる「六斎市」として月に6回開かれるようになりました。

 昭和8年には市場の用地を個人から取得し、昭和24年には貸店舗8棟が建ち、徐々に発展してきますが、昭和52年の土地区画整理事業により、150坪あった用地が半減した上、木町と権現堂地内に用地を二分されてしまいます。

 昭和53年には市場の名称を「盛木町市場」と改称し、現在に至ります。

市日はこんなところ

 市日は朝6時~正午ごろまで、盛駅から徒歩で5分足らずの場所にあるサン・リアショッピングセンター脇にある市道、通称「市場通り」で開かれています。50mほどの通りの両側に、50前後の店が軒を連ねます。

 毎年8月10日の盆市(ぼんまち)と12月27日の詰市(つめまち)は、お盆や年末年始の買い出しをする人々で普段以上の賑わいを見せます。市日では、野菜や果物のほか、花・花苗、魚介類、衣類、靴、自家製の梅干しや、かまもち、がんづき等さまざまな商品が売られています。季節によっては山菜や新米、新巻鮭なども手に入ります。

おわりに

 用事がなくても、通りすがりにフラリと立ち寄りたい場所です。石川啄木は停車場の人ごみの中にそ(訛り)を聴きにいくと詠みましたが、大船渡のそはここにあります。ほっかむり姿のばあちゃんたちが話すネイティブ気仙語を味わいに来てみてはいかがでしょうか。

 大船渡市外の方には非日常感がいっぱいですよ。

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