大船渡に古くから伝わる郷土菓子にもいくつかありますが、イチオシは「かまもち」なのです。
どんな食べ物かと言いますと、小麦粉生地の皮の中に黒砂糖と少量のみそ・くるみ等でできた餡が入っていて、餃子の2・3倍程度の大きさの食べ物です。焼いて作る場合もありますが、この辺では茹で上げるのが主流です。農作業の一服なんかに出てくるイメージなので、アツアツをほおばる機会はなかなかないですが、一口かじると黒糖餡がトロリと(あるいは勢いよくピューっと)出てくるので、服にくっつけたりしないよう食べ方には注意が必要です。つるっとした小麦生地のモチモチ感と黒糖餡とが口の中で混然一体となった味わいは、食べる人を虜にします。
そんなかまもちの名前の由来ですが、鎌の刃の部分に似ているからとか、餡を包んだ生地がワラのムシロを二つ折りにした封筒状の農具「かます」に物を詰め込んだようであるからとか言われていますが、定かではありません。はっきりしているのは、黒糖好きにはたまらなく美味しいことです(笑)。
かまもちの作り方
材料(10個分)
〔生地〕
小麦粉 320g(米粉やもち粉を混ぜても可)
塩 3g
〔餡〕
黒砂糖 50g
みそ 20g
くるみ 40g
作り方
1 くるみは2~3mmの大きさに細かく刻んでおく。
2 黒砂糖とみそをボールに入れ、すりこぎなどで砕きながら混ぜる。
3 2にくるみを混ぜる。
4 餡を10等分に分け、手で丸めてからやや平らに形を作っておく。
5 小麦粉と塩を混ぜ、ふるいにかけておく。
6 5の粉をボールに入れ、熱湯を回しかけ、箸で混ぜる。
7 だまが消え、生地の表面が滑らかになり、耳たぶ程度の固さになるまでよくこねる。
8 生地を10等分し、1個ずつ丸く丸めておく。
9 生地を円形で底の平らなカップなどで押して平らに伸ばし、生地の上に餡を乗せて二つ折りにし半月状に包む。餡が出てこないように、端から少し内側を閉じていく。
10 湯を沸かした鍋にかまもちを入れて茹でる。浮いてきたら網じゃくし等で鍋から取り出し、冷水にさらした後、濡れた布巾の上に置いて少し乾かす。
他地域での呼び名
大船渡・気仙地域ではかまもちと呼んでいるこの絶品おやつですが、地域によって違う名前で呼ばれています。非常に興味深いことに、県内だけでもいくつもの呼び名があるようで、すぐ隣の釜石では「かまだんご」と言い、山田から北、私の知るところ田野畑あたりまでは「ひゅうず」「ひゅうじ」と呼んでいるようです。久慈や洋野のあたりでは「みみっこもち」ですし、一関出身の人はこれを見て『「げんべた」みたい』と言っていました。さらに調べると、盛岡や二戸など県央・県北では「かますもち」の表記が目立ちます。
岩手だけでもこんなにあるのですが、青森まで範囲を広げてみると、南部地方だけでも「きんかもち」「ばおりもち」「ばほりもち」・・・もはや収拾がつきません。一体どうしてこんなにも多くの名前を持っているのでしょうか。かまもちの名称の地域分布を調査したら、良いライフワークになりそうです。道の駅めぐりなんかと組み合わせたらさらに楽しいかも。
魅力あふれるかまもちですが、市内で買える場所といえば思いつくところは・・
・味処 やすみいし(盛町)農家レストランの方ではないです
・五葉温泉直売所(日頃市町)
・三陸道の駅(三陸町越喜来)あまり見かけなくなった気もします
・マイヤ大船渡店(大船渡町)
といったところでしょうか。イベントでは「三陸夢を稔らせる会」が売ってたりします。まずはどんなものか食べてみたいという方は是非どうぞ。後悔はさせませんよ!