大船渡にある貯水ダムと言えば、鷹生ダムともう一か所、三陸町綾里地区の綾里川ダムがあります。ここでは、水害防止や生活に役立つだけでなく、風光明媚な観光施設でもある綾里川ダムについてご紹介します。
ダムの概要
綾里川ダムはその名の通り綾里川に建設された多目的ダムであり、治水や農業用水、魚などの生息に必要な水量の確保、水道水供給を目的とする重力式コンクリートダムです。
計画時、地上に建設するダムのほかに、渇水対策として河川下の砂礫層にダムを造り、伏流水を貯留・汲み上げする地下ダムの検討がされていたそうで、実現していれば全国でも初めての試みとなったのですが、結果的に現実のものとはなりませんでした。
ダム本体の諸元
型式:重力式コンクリートダム
高さ:43m
長さ:154m
体積:70千立方m
総事業費:85億円
ダム事業者:岩手県
本体施工者:フジタ・高弥建設
着手:昭和61年
竣工:平成12年
貯水池の諸元
流域面積:1.6平方km( 全て直接流域 )
湛水面積:0.034平方km
総貯水容量:486千立方m
有効貯水容量:445千立方m
ダム施設
・東屋
ダムへの道路を上った展望広場の先にある、水辺スポットと呼ばれる場所に、気仙大工の手による東屋があります。これは「反り付き入母屋造り」という在来工法で、東屋の屋根にはもったいないくらい美しい屋根が特長です。
・ダム管理所
ダム堤体ぎわにある展望広場にあるのが、ダム管理所です。トイレのほか、展示室ではダム建設の歴史が分かるパネルや模型などが見られます。管理人さんがいればダムカードがもらえるようです(いない場合は県土木センターへ・・遠い!)。
開館時間は9時30分~15時ですが、冬期間(11月~3月)の土・日・祝と年末年始は閉館ですのでご注意を。
・綾織姫の石像
ダム展望広場にたたずむ石像の人物が、当地の地名の語源となったと言われる綾織姫です。織物を生業としていた綾織姫は、後世まで残る仕事をと、模様入りの長ーい長い布を織りあげ、木櫃に収めて奉納しました。この「綾織」がなまって「綾里」になったそうです。
周辺情報
付近に岩手の名水20選にもなった不動滝があり、散策路を通って歩いて行けます。紅葉がとてもきれいな場所なので、訪れるなら秋もおすすめです。
現地を訪れて
綾里駅から車で約10分、ダム堤体の前に到着します。堤体直下が広場になっており、堤体に近づいて直接触れることができます。
そこから上へ移動すると、展望広場、そしてダム堤体の天端に到着します。ダム湖はコンパクトな印象ですが、竣工から現在までその役割をしっかり果たしてきたのだろうと推察します。そういえばひと頃、ダムでブラックバスが出たと話題になりましたが、今はどうなったのでしょうか。
展望広場を過ぎると、ベンチのある休憩スポットを挟んで東屋のある水辺スポット。その先の管理用道路は車両通行不可なので、徒歩であればダムを1周することができます。周囲がちょうど1kmぐらいなので、散策にはちょうど良いでしょう。
おわりに
ダム直下の親水広場で迫力の放水を楽しむもよし、ひっそりとしたダム湖でくつろぎのひと時を過ごすもよし、三陸町ならではのゆったりのんびりなムードがあふれる綾里川ダムは行って損なしの観光スポットですよ!