知られざる「かもめの玉子」さいとう製菓の秘密とは!?

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 今や東北を代表する銘菓・お土産品といって過言ではない「かもめの玉子」。おいしさを追求するためのたゆまぬ努力に裏打ちされた味と品質、豊富なバリエーションや多方面に渡るコラボレーションには驚かされるばかりです。かもめの玉子と言えばさいとう製菓、さいとう製菓と言えばかもめの玉子・・だけではなく、和洋菓子からパンまで幅広いラインナップを取り揃えています。

 ここでは、知られざるさいとう製菓をご紹介し、角度を変えてその魅力をお伝えします。

秘密①さいとう製菓の生い立ち

 現在の一関出身で、養蚕業で失敗した3代前の齊藤夫妻が、大船渡に移り住み、昭和8年に大福やもち、ゆべしを売る商売を始めたのがさいとう製菓のルーツです。

 戦時中は休業を余儀なくされたものの、昭和23年、「齊藤餅屋」は家の廊下を改造した一坪ほどの作業場でもち菓子作りを再開しました。

 「齊藤菓子店」の看板を掲げた昭和25年ごろ、先々代が考え出したのが「鴎の玉子」で、その2年後には販売にこぎ着けます。鴎の玉子は人気を博しますが、経営上の理由で製造休止に追い込まれ、再開はチリ地震津波で被害を受けた翌年の昭和36年でした。その3年後、チョコでカステラをコーティングする現在の形になりました。

 昭和54年、「大船渡玉川温泉株式会社」という社名を、「株式会社さいとう」に変更しました。温泉旅館業をこのとき廃業しているのですが、まさか温泉たまごを作って・・いた訳ではないでしょうが、謎の履歴なのです。その後、昭和59年には現在の「さいとう製菓株式会社」に変わります。

 平成23年の東日本大震災により本社は全壊しますが、被害を免れた工場で翌月には生産を開始しています。そして平成29年には大船渡駅前に総本店である「かもめテラス」がオープンしました。

かもめテラスの外観
かもめテラスの外観。大船渡駅の真ん前にあります

秘密その②さいとう製菓の店舗戦略

かもめテラス

 東日本大震災津波で壊滅的な被害を受けた中心市街地の区画整理事業区域内に、平成29年オープンした、さいとう製菓の総本店です。

 和洋菓子に焼き立てパン、焼き立て団子などの豊富なラインナップをはじめ、飲食できるくつろぎスペース、かもめの玉子にデコレーションできるコーナーなどなど仕掛けが盛りだくさん。キッズスペースもあるので、子供連れでも安心です。

かもめテラスの店内
かもめテラスの店内。目移り必至です!

三陸菓匠さいとう

 さいとう製菓の直営店で、盛岡国分通り店、盛岡フェザン店、北上本店、釜石店、高田店があり、いずれも「かもめの玉子」だけでなく、各種和洋菓子が手に入ります。

秘密その③さいとう製菓の関連会社

株式会社鴎の玉子

 平成5年に創業。さいとう製菓が製造した製品を卸売する役割のようです。

株式会社東京たまご本舗

 すっかり東京みやげとして定着した、銀座たまやの「東京たまご ごまたまご」は、実は大船渡の本社工場で製造されています。

 また、東京とろ~りしょこら、購入時は行列必至のN.Y.CSAND(ニューヨークキャラメルサンド)に、とろけるキャラメルが素材を引き立てるCARAMER(キャラマー)も同社製。

 高級感ただよう都会のお菓子を作っているのが、実はさいとう製菓の関連会社というのは驚きです。

秘密その④工場見学(現在休止中、再開未定)

 赤崎町中井地区にある本社工場では、かもめの玉子の製造過程が手に取るように分かる工場見学を実施しています。所要時間は30分ほどで、会議室での座学に続き、自動化された工場内の製造ラインで「かもめの玉子」が生み出される様子を案内付きで見ることができます。かもめの玉子のおみやげまで付いて、なんと入場は無料なのです。

さいとう製菓工場見学の様子
通路から生産ラインを見降ろせます

秘密その⑤工場まつり

 毎年秋に、「かもめの郷工場まつり」が開催されます。お菓子が2割引で手に入るほか、洋菓子バイキングに餅つき、手作りケーキ教室、ステージライブに餅まきなどなど、イベント目白押しの2日間です。

 残念なことに、新型コロナウィルスの影響でこの数年、中止が続いています。

秘密その⑥震災での功績

 平成23年に発生した東日本大震災で、さいとう製菓も本社事務所と直営店5店舗、和菓子工場が流失する甚大な被害を受けました。

 それにも関わらず、さいとう製菓では在庫のかもめの玉子をトラックに積み込み、当時食べるものも十分になかった避難所に無償で配っていったのです。配った菓子は約25万個、金額換算で約2,000万円だとか。

 「地域貢献」などと口にするのは簡単ですが、なかなかここまで思い切ったことはできないと思います。

秘密その⑦実は非上場

 かもめの玉子のみならず和洋菓子の製造を幅広く展開し、30億円を超える売上げと200人を超える社員を抱える大手企業のさいとう製菓ですが、実は上場していません。

 いわゆる同族会社と呼ばれる形態ですが、震災時のボランティア活動に見られるように、最大のメリットである意思決定の迅速さが如実に表れる結果となりました。

おわりに

 大船渡市民のみならず岩手県民、ひいては日本国民に親しまれる、さいとう製菓ワールドの一端をご紹介しました。

 最近では、大船渡出身の佐々木朗希投手を擁する千葉ロッテマリーンズとのコラボパッケージなど、次々と盛り上がる話題を提供し続けてくれます。

 目指すは「お客様からの金メダル」だそうで、今度はいかなる手段でファンを喜ばせてくれるのか、目が離せません!

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