今こそみんなで応援しよう!三陸鉄道

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今こそみんなで応援しよう!三陸鉄道

 岩手県の三陸沿岸・久慈から大船渡まで縦断する鉄道路線が、御存じ三陸鉄道です。日本初の第3セクター鉄道として知られる三鉄について調べてみました。

三鉄の歴史

 三陸沿岸を結ぶ鉄道の構想は、明治29年の明治三陸津波の際に支援が届きにくかったことを踏まえ提案されました。昭和3年の仙台駅-石巻駅間を皮切りに、昭和10年には気仙沼駅-盛駅間が開通しました。

 その後も三陸沿岸の町を結んで鉄路が延伸していきますが、三陸縦断を目前にして、国鉄の財政悪化により新路線建設は凍結されてしまいます。さらには、やっとの思いで開業にこぎつけた盛線や宮古線、久慈線までもが「赤字ローカル線」としてバスへの転換が適当と判断され、廃止の対象となったのです。

 沿岸市町村の悲願としてせっかく実現した鉄路をなくしてはならぬと、岩手県と沿線の市町村は立ち上がり、昭和56年に第3セクター「三陸鉄道株式会社」を設立したのです。

 翌年から三陸沿岸の未開業区間建設を進め、国鉄の廃止路線を引き継ぎ、昭和59年4月には久慈から大船渡まで鉄路で結ばれました。そしていよいよ三鉄は営業を開始します。廃止決定路線を転換して開業した初めての鉄道会社ということで、日本初の名称が冠されているというわけです。

 三鉄開業時には利用客が269万人あり、約10年間黒字を計上していましたが、その後利用客は年々減少し、平成6年からはとうとう赤字に転落しました。このため運営助成基金を取り崩して赤字額を補填してきましたが、その最中、東日本大震災により被災。線路はもちろんのこと、車両や駅舎まで大変な被害を被りましたが、平成26年には全線運行再開を果たします。

 平成31年には、不通となっていたJR山田線の宮古駅-釜石駅間が三鉄に移管されたことで、北と南に分かれていた営業路線が一本となり、日本最長の第3セクター鉄道となったのでした。

 同年(元号は令和)発生した台風19号による被害で、再び不通区間が生じますが、令和2年には全線復旧を遂げています。傷ついても必ず立ち上がる、それが三鉄というわけです。

バラエティに富んだ三鉄の事業

 鉄道会社だけにメインは鉄道事業ですが、レトロ列車やお座敷列車、こたつ列車などユニークな車両を使ったイベント列車が人気を博しています。例えば・・

・仙台発、三鉄で季節限定の食を堪能する冬の味覚三昧ツアー

・三陸ジオパーク認定ガイドが案内する浄土ヶ浜、宮古鮭まつりを楽しめるツアー

・バスを組み合わせ、震災語り部や避難路体験、三鉄震災学習列車、釜石鵜住居復興スタジアムを見学するツアー

・三陸の秋の味覚を楽しむ、プレミアムランチ列車

などなど。

 車両の貸切も可能で、職場やグループで集まり、ビールサーバーやオードブルなどを持ち込んで宴会ができます。盛駅からであれば釜石駅まで往復運転しますが、雪が多くて運行困難なときなど、車両基地に入れたまま移動なしで宴会ということも。

 関連事業では、赤字を食うという意味で「三鉄赤字せんべい」の販売、イケメン鉄道社員をキャラクター化した「鉄道ダンシ」の展開、三鉄マスコットのさんてつくんを配したグッズ販売など行っています。

 また、トミーテックが展開する「鉄道むすめ」や、ネスレ日本のラッピング列車「キット、ずっと号」、複合型書店ヴィレッジヴァンガードなど、様々な業種とのコラボレーションを実現しています。

財政状況から見る三鉄

 鉄道事業と関連事業を合わせた営業利益は2021年3月期でマイナス611,083千円。関連事業では16,333千円の黒字なのですが、深刻なコロナ禍の影響もあり、本業の鉄道事業が振るわないため焼け石に水といった状況です。

 ちなみに黒字の関連事業の内訳は、旅行業収益が4,762千円、物販事業が20,948千円となっており、コラボグッズや盆暮れの三鉄ギフトの好調をうかがわせます。

 このほか、国や県、沿線の自治体から各種補助等を受けています。

・安全輸送整備事業費補助金:214,603,430円

・三陸鉄道運営費補助:217,483,000 円

・三陸鉄道運営費補助:15,000,000円

・三陸鉄道経営移管交付金:138,724,144円

・三陸鉄道運行支援交付金:190,000,000円

・令和元年度鉄道施設災害復旧事業費補助金1,649,969,000円

・令和2年度地域公共交通感染症拡大防止対策事業費補助金:29,469,491円

・地域企業経営継続支援事業費補助金4,200,000円

 補助以外にも、鉄道用地、トンネル・橋梁、鉄道施設を自治体に寄附した上で無償で借り受けるという優遇措置が図られています。

 つまり、これだけ手を尽くしてもなお赤字が出るというのが現実なのです。鉄道事業というものがいかに困難を伴うものかということが分かります。

 しかし、やはり鉄道というものは単なる移動手段ではなく、人を強く惹きつける魅力を感じます。盛駅-気仙沼駅を結ぶJR大船渡線はBRTという名のバス路線になりましたが、三鉄までバスに取って変わられては、あまりに味気ないと思うのです。三鉄を応援する気持ちを持つ人の力を合わせ、みんなで三鉄を盛り上げる必要があります。そのためにも、まずは三鉄に乗ってみませんか。

結論

 われらが三陸鉄道の末永い存続のため、みんなで三鉄を盛り上げましょう!

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